命くらい投げ出せなくてなにが友達か:傷物語

前作『化物語』で頻繁に言及されていた暦と忍の物語。
連作で一話ごとに起承転結のあった前作よりは遊び分が減少していて物語性が上がっている。

悪意が無くとも誰一人として悪人がいなくてもそこに不幸は起こせる。
怪異で苦しむ人に「被害者面するな」と化物語で忍野の言っていたことが
ここにきてようやくわかった気がするが、人の身としては納得しづらいな、
忍野の観点が第三者的過ぎる。

化での阿良々木君の過剰なおせっかいは、素養があったとしても開花したのは羽川さんの影響だな。
これだけ前準備ができていながらあっさりと阿良々木君をひたぎさんに持ってかれたのは
羽川さんが阿良々木君の流されやすさを過小評価し過ぎていたのか。

選択権が阿良々木君にあるとはいえ、あきらかに不幸の度合いが違う。
化の最後でそれなりの折り合いがついたように見えるけど、忍に恨まれても仕方が無いラストだな。